今だから言える住宅ローンの話(その4・成年後見人の申立て)

お金(ローン/保険など)

実家ローンを再借り換えすることによって、私を連帯債務から外す動きとなりましたが、事前申し込みは無事に通過しました。しかし、もう一つ問題がありました。

認知症の祖母です。

まだ祖母の健康状態が良好だった際に、土地の所有者である祖母を保証人として実家ローンを借り換えているのですが、その後祖母は老人ホームに入居し、ついに重度の認知症となってしまったのでした。祖母の息子である私の父親すら誰なのか分からないほど症状はひどく、会話や応対もままならないほどです。

ですが、住宅ローンの借り換えには保証人である祖母の同意も必要です。

そこで金融機関が出してきた条件が「祖母を成年被後見人として、誰かを成年後見人に立てること」でした。

これに対しても金融機関は「ほら面倒でしょ?」と言わんばかりの対応。ですが、ネットで色々と調べていくと、個人でも成年後見人の申立てが可能であることがわかりました。また、成年後見人自体は親族がなるのも可能です。それが無理な場合は司法書士など専門家に委託することも可能ですが、当然報酬を毎月支払う必要が生じます。

家を建てるのにそれ以外にお金なんて正直払いたくありませんでしたので、成年後見人には父親を立てて、私が申立人として申立てを行うことにしました。

成年後見人制度について詳しい説明は法務省のサイトを見ると良いでしょう。

あと私が参考にしたのは名古屋家庭裁判所のページですね。手続きのマニュアルや提出書類のフォーマットもあります。

  • 診断書、診断書附票、鑑定連絡票
    成年被後見人が後見される人物かどうかを裁判所が見極める書類です。私は老人ホームの専門医に書いてもらいました。ちなみに重度の認知症の場合は、審査が早いと聞いています。また、通常必要な精神鑑定も行われず、診断書だけで判断されるケースがほとんどのようです。鑑定が必要な場合は5~10万円ほどの鑑定料が必要らしいです。鑑定が必要になるかもとちょっとドキドキしていましたが、結果として私たちのケースでは精神鑑定は不要となりました。
  • 申立書
    端的に言えば成年後見人の申込書ですが、なぜ成年後見人の申立を行うのか申立ての趣旨などを書く必要があります。文章はかなり悩みましたが、どうしたいのかを書けば良いのだと思います。ちなみに成年後見人には「後見・補佐・補助」の3種類があり、症状によってそのいずれかになります。100%認知症の祖母の場合は「自己の財産を管理・処分することができない」ので「後見」となります。
  • 本人に関する紹介書(財産目録、本人予算収支表、親族関係図)
    「本人」とは成年被後見人のことです。財産目録は現金はもちろん、預貯金から国債(県民債・市債)、生命保険や損害保険、投資信託や株式、不動産や借金にいたるまですべて明記します。そのため通帳や保険証書などもすべてコピーします。通帳は老人ホームに預けていたため、老人ホームまで行きお借りしてきたのをコピーしました(借りる、という表現が微妙ですが)。本人予算収支表はちょっとでも不審な点があると家庭裁判所での面談の際にツッコミが入りますので、お金の流れがはっきり分かるように記入しなければなりません。親族関係図は我が家の祖母の場合は、父母(私から見て曾祖父母)と子(私から見て父親とその兄弟)だけ記入しました。すでに死亡している親族は☓印をつけます。生年月日が不明な死亡した親族がいたのですが、家庭裁判所の後見センターに問い合わせたところ、空欄のままで構わないと言われましたので空欄としました。
  • 本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 本人の住民票(世帯)または戸籍の附票
    戸籍謄本は確かそのまま役所で出してもらえたと思いますが、住民票は祖母が老人ホームに移していたため、老人ホームの方に委任状を書いてもらう必要がありました。
  • 本人の登記されていないことの証明書
    これは「まだ成年被後見人として登記されていませんよ」という証明書のことです。すでに成年被後見人として登記されていたらおかしいですから、それを証明するための書類です。法務局で書類を取り寄せる必要があります。また、申立人と本人の親族関係がわかる書類として申立人の戸籍謄本が必要になります。今回は私の戸籍謄本と祖母の戸籍謄本の両方を提出しました。裁判所にも戸籍謄本を提出する必要があるため、2通の戸籍謄本を用意しても良いのですが、少しでも経費を削減したい場合はコピーを取ることも可能です。複数ページにまたがる場合は割印を求められますので、印鑑も持って行ったほうが良いです。参考PDF:申請書に添付する戸籍謄本等の還付(返却)を希望される場合について
  • 候補者の住民票(世帯)または戸籍の附票
  • 収入印紙
    後見開始の場合800円、登記嘱託費用でさらに2,600円分の収入印紙が必要です。
  • 切手
    審理中の通信費として事前に切手を収めます。不足する場合は追加をお願いすることもあるそうですが、私の場合は逆に余らせてしまって後日返却されました。しかもわざわざ受領書のフォーマット付きで郵送かFAXで受領書を返信することになりました。

という感じで書類書類のオンパレード。途中挫折しかけて行政書士に委託しようか考えることもありましたが、なんとか一人で出来ました。これのために休みが完全に潰れます。それぐらいの覚悟で臨む必要があります。私の場合はサービス業だったので、役所が開いている平日に動くことが出来ましたが、普通の会社員の方だとかなり大変になると思います。私も大変でしたが、まぁ色々勉強になりました。大変になるのが嫌だったり覚悟がなければ司法書士などの専門家に依頼しましょう(笑)

さて、書類がすべて揃った段階で後見センターに電話して予約を取ります。ちなみに高齢化社会のためかどうかは分かりませんが、なかなか予約が取れないようです。私の場合は12月の中旬に「もしかしたら予約が埋まってしまうかも」と察した妻が電話したら、12月の下旬のとある日だけ空いていたのですが、それを過ぎると翌年の2月と言われたらしく慌てて予約してもらいました。同時に書類は収入印紙と合わせて郵送で送りました。

2ヶ月半も先って…(汗) 危うく工期というか引き渡しも2ヶ月延びるところでした。

さぁ、次回はいよいよ家庭裁判所での面接です。


※あくまで私個人のケースです。同じような境遇であっても、微妙に違う可能性もあります。専門家に頼めるところは頼んだ方が安く上がる場合がありますので、あくまで参考としてお考えください。この記事を見て何らかのトラブルが生じても一切の責任は負いませんので、あらかじめご了承ください。

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